カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「こちらの方はモデルさんですか?」
「従姉妹だ」

似てはいないけど、美形の遺伝子。羨ましい。

「その写真を見てどう思う?」
「素敵だと思いますが…」

そう答えてから写真にもう一度視線を落とすと人としての温もりが全然伝わってこない、さもすれば気高く冷たい印象を与えそうな気がした。

でも月城さんは満足のようで私の答えに頷いた。

「お見合い写真と言えばこれ、という完璧な写真だろ?それなのにコイツはこんな写真嫌だと言う」

月城さんの苛立ちを含んだ声が場の空気を重くする。
黙って待っていると、月城さんは眉間に当てた手を離し、こちらを見た。

「加藤さん」
「はい」

ここからが本題だと聞く姿勢を整える。

「きみに従姉妹の見合い写真をお願いしたい。きみに頼めば恋は成就するとも聞いた」
「それは…間違った情報ですね」

途端、月城さんが眉根を寄せたので、私が撮っているのはお見合い写真ではなく、マッチングアプリ用の写真だと説明する。
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