カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「そういえば」
月城さんが車内で思い出したように言う。
「俺はきみのことが好きだとちゃんと言ったことはあったか?」
「ない…と思いますが」
好意的な言葉や態度はあっても、直接的な言葉はもらっていないはずだ。
「好きだよ」
赤信号で止まった時、月城さんは私の方を向き、言葉にしてくれた。
「俺はきみが…咲のことがすごく好きだ」
「このタイミングで!?」
破壊力半端ないし!
色気漂う笑顔、私を見つめる妖艶な視線は大人の男性って感じがして落ち着かない。
「これからはどんな時でも言うよ。咲のことが好きだって」
「嬉しいですけど、それ職場ではやめてください」
静かに本音を漏らすと月城さんは運転しながらチラッと横目で私の方を見た。
「それはプライベートならいくらでもいいってことか?」
「それも違うんですけど……」
言い淀むと月城さんの手が私の頭に優しく乗った。
「分かってる。ごめん、からかったりして。周りの目が気になるんだよな?」
小さく頷くと月城さんは頭を撫でてから手をハンドルに戻した。
「俺は良くも悪くも目立つから。そういうのが苦手な人は男女問わず俺から離れていく。だが咲は離したくないんだ」