カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
覚悟
それから2週間。
仕事が忙しくなってしまい、特に進展はないけど、月城さんがカッコ良すぎて、素敵過ぎて、眼福過ぎて。
秘書室勤務、それも月城さんの専属になったことを少し前までは憂鬱に感じていたのに、今は感謝してしまっている。
「咲、月城さんのこと好きでしょ?」
昼食を一緒に取っていた真紀は私の視線に気づいたようだ。
そして焦ってお茶を飲むのを見て、確信したらしい。
「まぁ、あれだけのイケメンが毎日近くにいて好きにならない方がおかしいか。でも自然体でいられる人が理想なんじゃなかったっけ?」
奏音さんに話したことのある理想像は真紀にも話したことがあった。
それを覚えていてくれたようだ。
「月城さん相手じゃ自然体とか無理じゃない?」
私も初めはそう思っていた。
住む世界も地位も立場も違うから。
「でもそこはあまり問題じゃないの」
「じゃあ何が問題なの?」
「陰口叩かれるのが嫌なの」
関わる人みんなに好かれる人間になりたいわけではない。
ただ周りの目を気にして引け目を感じて、そんな状態で月城さんの隣に立つのは失礼だと思う。
だからこそ月城さんも愛情が問題を超えたら、という話をしてくれたのだ。
そのことをかいつまんで言うと真紀が話を中断するかのように「ちょっと待って」と手のひらをこちらに向けた。