カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「あのさ、今の話の流れからすると2人はすでに両思いってこと?」
「え?あ、うん。私の覚悟待ち、かな」

言うと真紀は口をぽかんと開けてから勢いよく首を横に振り、私の両肩を掴んだ。

「両思いなら悩むことないじゃん!覚悟なんて言ってないで飛び込んでいきなよ」
「それが出来たら真紀に『彼氏が出来た』って報告してるよ」
「そうかもしれないけど」

もし逆の立場だったらきっと私も真紀と同じように言ったかもしれない。
それが分かるからこそ笑顔で留めた。

「でもなんだかなー」

真紀は伸びをしながら頭の後ろで腕を組んだ。

「両思いなのに周りの目を気にして飛び込めないとか覚悟待ちとか。その程度の気持ちなの?って話だよ」

真紀の言うことが正論過ぎて何も言えない。

「そのうちに月城さんの気持ちが離れちゃうよ?それでもいいの?」
「それは嫌なんだけど」

煮え切らない自分がもっと嫌だ。

「贅沢な悩みだな〜」

真紀が呆れたように笑った。

「誰かに取られない前に早いところ覚悟決めなよ」

肩をポンと叩かれ、私は頷くしかなかった。
でもどうしたら覚悟は決められるのか。
真紀が言うように贅沢な悩みだと分かっていてもわからない。

「加藤さん」

廊下を歩いている途中に呼ばれて振り向くと神崎さんがいた。
以前にアプリ用の写真を撮らせてもらったことを思い出し、その報告かと待ち受ける。  
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