カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「同じことだろう?」

どうだろう?と私は首を傾げ、それからお見合い写真をもう一度見てから答える。

「結婚のお相手を探すと言う意味では同じですが、マッチングアプリに第三者の介入はないです」

写真も見開きの大きなスタジオで撮影した写真と屋外やカフェなどで撮影したスマホサイズの写真とでは印象が全然違う。

「それに私はこのようなお写真を撮ったことがありません。それこそ実績はないです」 
「それでも構わない。きみに頼みたい。いや、頼む。この通りだ」
「え?!ちょ、ちょっと!」

月城さんに頭を下げられてさすがに焦る。

本当は頭の中に断り文句がたくさん浮かんでいるのに。
そんなことまでされたら断りにくい。

「頭を上げてください」
「ではお願いできるか?」

断れる状況にないじゃないですか、と言いたいのを堪えて頷く。

ただしこれだけは言わないと。

「成婚するという保証はありませんよ?」

保険をつけておいた。

「それでもいい。よろしく頼む」

月城さんはまた頭を下げた。
ただの一社員相手に2度も。

どうしてそこまで従姉妹の結婚相手探しに必死なのか。
このモデルのような美人が一体、どんな女性なのか。
すごく気になる。
責任は負いたくないけど、会ってみたいと思った。

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