カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

自席に戻り、これからどうしたらいいのか悩んでいると服部くんから写真のデータが送られてきた。
月城さんの方を向くとそちらにも届いているようで、また来るように言われた。

「一緒に見よう」
「でもまだ仕事中ですし」

【最高のカップルフォト撮れたぞ】という服部くんからのメッセージも気になって、出来れば一人でこっそり見たいと思ったのだ。
にも関わらず月城さんは聞く耳を持ってはくれない。
私の腕を取ると月城さんの椅子に座らせた。

「月城さんが座ってください」

遠慮して立ち上がろうとするも月城さんはそれを許さない。
隣にしゃがみ、マウスを手に画像を開いていく。

「開いた。ほら、見てごらん」

月城さんに言われて、画面を見ると記憶に新しい風景が載っていた。

構図、レタッチ、光の具合。
服部くんの写真は今まで何度も見てきたけどやっぱり綺麗で一気に引き込まれる。
表情の切り取り方も上手くて自分が映されているのに、別人のように見える。

「すごい」

それ以上の言葉が思い浮かばないくらい美しくて、ため息混じりに呟くと月城さんも頷いた。

「フォトグラファーとして十分にやっていけるだろうな」

頷き、画面にまた見入っていると視線を感じたので隣を向く。
月城さんがこちらをジッと見ていた。
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