カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「気にすることないのに。ほら、周りを見てみろ。みんな自分たちのことだけしか考えてない」
「いえ…そんなことなさそうですよ」

女子大生くらいの若い男女四人組がガッツリこちらを見ていた。
普通に視線が合うのだから間違いない。
そしてあろうことか、こちらに近づいてきたではないか。

「あの」
「な、なんですか?」

なにを言われるのか身構えるとそのうちの一人の男の子が質問を投げかけて来た。

「そちらの方はモデルか芸能人ですか?さっき撮影していたみたいですけど」

月城さんの容姿は目立つ。
少しの間とはいえ、カメラを向けていたのもあって余計に人目についたのだ。

「違うよ」

月城さんが答えた。

「じゃあお二人は恋人ですか?」

男の子に聞かれて月城さんは私を見下ろし、それからソフトクリームを持つ手と逆の手で私の手を握った。

「ほら、やっぱり!」

後ろに立っていた女子二人が黄色い声を上げた。

「恋人に決まってるじゃん!めちゃくちゃお似合いだもん」
「カメラマンとモデルなんて関係に見えないよねー。私たちの勝ちー!」

何かと思って首を傾げると、男の子が申し訳なさそうに、私たちの関係を賭けにしていたと教えてくれた。

「私たちの勝ちだからしらすソフトクリームは男子の奢りね」

なるほど、と月城さんと顔を見合わせて笑ってしまう。

「いいよ、四人分、俺がご馳走しよう」
「え?いや、それは申し訳ないですよ。勝手に賭けの対象にしたのは俺たちの方だから」

男の子が焦ったように言う。
でももう一人の男の子がハッと気づいた。
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