カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
三週間後の朝。
「加藤さんはいるか?」
社長室で社長とスケジュールの確認をしているところに、月城さんがノックもなしにやってきた。
「おい、ノックくらいしろ」
叔父である社長が眉根を寄せる。
「悪い。それより彼女借りてもいいか?」
「ダメだ。今、加藤くんの時間は私のもの。お前はそうだな、あと30分自分の部屋で待っていろ」
「それは無理な願いだ。5分で済む。借りていく」
月城さんはそう言うと私の腕を掴んで部屋を出た。
「え?ちょ、ちょっと!」
助けを求めるように社長の方を向くも、社長は和かな笑顔で手を振っている。
今の私の時間は社長のものだと言ったのに。
「あの、御用は何でしょうか?」
月城さんの部屋に入り次第、口火を切った。
「謝礼はなにがいい?」
振り向いた月城さんが声を被せてきた。
その内容にピンときた。
実は昨日、月城さんの従姉妹の奏音さんから結婚を前提としたお付き合いが始まったという連絡をもらっていたのだ。
「おめでとうございます」
「まだ始まったばかりだが。きみが奏音と一緒に撮影したアニメのぬいぐるみがキッカケだと聞いた」