カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

展望台から見える景色も、月城さんの表情も全部輝いて見える。
お昼に食べたしらす丼、少し分けてもらった海鮮丼も美味しくて、神社でお参りも出来て、充実した時間を過ごさせてもらった。

「私、月城さんといるとすごく楽しいです」

海岸線沿いを手を繋いで歩きながら話す。

「嫌なことも忘れられる」
「お役に立てて光栄です」

月城さんがそんな風に丁寧に言うものだから思わず笑ってしまう。

「きみの笑顔は本当にめちゃくちゃ可愛いな」
「え?」

見上げると月城さんは私を見下ろしてからまた前を向いて話を続けた。

「可愛すぎて同性は嫉妬するのだろう。しかも俺のようなハイスペックなイケメン?がきみを特別扱いしている。気に障らないはずがないんだ」
「あの」

なにが言いたいのか。
胸が不安で渦巻く。
立ち止まり、月城さんを見上げると、月城さんも足を止め、こちらを見た。

「きみの噂は俺の耳にも届いている。正確に言えば叔父がこんなことを言われていると俺の耳に入れてきた」
「社長が?」

聞くと社長は月城さんが私のことを特別に思っていることを知り、私のことを気にかけてくれていたのだと教えてくれた。

「きみは叔父のお気に入りだから」
「それはありがたいことですが、でも」

どうして今、こんな話をしてきたのだろうという不安が拭えない。

「私の陰口なんて月城さんには知られたくなかったです」

正直に言うと月城さんは人目も憚らず私の体を抱きしめた。
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