カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「俺のことを好意的に思っていなかった連中はここぞとばかりに趣味を面白おかしく笑った。しかも普段の俺は鉄オタファッションをしているんじゃないか、それを広めれば俺の人気は落ちるんじゃないかと、後までつけられ、鉄道仲間といるところを盗撮されて。その仲間まで晒し者にされて。そのうちの一人は趣味もカメラも辞めた」

そこから先を月城さんは言わなかったけど、鉄道仲間と疎遠になってしまったこと、月城さんも責任を感じてカメラを辞めたことは聞かずとも予想できた。

そしてそれを後悔しているのだということも。

「きみが楽しそうにカメラを構える姿がかつての友達と重なった。だからこそカメラを手放しそうになっている今、どうにかしてあげたいんだ。これは完全に俺のエゴだが」

私は首を横に振る。

「話してくれてありがとうございます」

切なそうに微笑んだ月城さんの表情が胸を打つ。
堤防にふたりで並んで腰掛け、海を眺めながら私は考えた。
今の話を聞いた上で私はどうしたらいいのか。どうしたいのか。どうすべきなのか。
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