カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「ここは研修プログラムもしっかりしてるし、定期的にコンテストを開催したりして環境も充実してるよ」
「服部くんはここに行かないの?」
「給料が今ほど貰えないから」
そう言うと服部くんはスマートフォンを戻すよう手を出してきたので返すと別の画面を出して見せてくれた。
「ほら、これが募集要項」
一緒にお仕事していただける”フォトグラファーのアシスタントを募集中"と書かれた文面をスクロールしていくと勤務時間や給与などの詳しい情報が載っていた。
「確かに今と比べると少ないけど」
生活できない程ではない。
むしろアシスタントとして妥当な、一般的な給与だと思う。
でも服部くんは副業として働ける出張撮影をメインとした運営会社に所属することを選び、ここは選ばなかった。
「どうして?」
「結婚とか今後のことを考えるとやっぱり安定した給料をもらえる今の会社にいて、余裕のある時に撮影する方が俺にとってはベストなんだ。プロにはなりたいって思ったけどそんな甘い世界じゃないし」
「そうだよね」
頷き、スマートフォンに目を落とすと服部くんは月城さんの存在を口にした。