カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「加藤には月城さんがいるから安心だろ」
「それは」
万が一ダメでも月城さんのお嫁さんにでもなればいい。
保険はあるだろ。
そういうことを言っているのだろう。
でも私は甘えさせてもらうつもりはない。
「覚悟はちゃんと決めたから」
ハッキリと言えば服部くんはバツが悪そうに後頭部を掻いた。
「悪い。嫌なこと言ったよな」
「ううん」
タイミング的に月城さんのことを指摘されるであろうことは予想出来たことだ。
そこを踏まえて服部くんには転職の話をしたわけだし。
「ここのフォトスタジオ」
スマートフォンを返しながら言う。
「私、受けてみてもいいかな?」
聞くと服部くんの視線が私よりも少しずれた背後に向けられた。
その視線の先を追うとオーナーと言葉を交わしている月城さんがいた。
「相談したら?」
服部くんに言われて、月城さんが飲み物を注文した後、今までのやりとりをかいつまんで説明し、応募してみようかと考えている旨、伝えた。