僕の彼女はヤンデレです
ミチルと一言話したい。

そんな希望も虚しく、仕事が再開される。

仕事をしないといけない事は理解しているが、ミチルの事が気になって堪らない。

結局、仕事に集中出来ないまま夕方になった。

日が落ちてきたと同時に、持って帰る荷物を荷台に乗せてゆく。

なんだか、ザワザワと騒ぐ心に気付かない振りをして工場に戻ったがミチルの姿は見当たらない。

「陸！ミチルを呼んできてくれ！！」
「はい……」

なんだか、面倒事に巻き込まれそうな予感を感じながらも事務所に向かう。

そこには、切なそうな表情で宙を眺めているミチルが居た。

「み、ミチル？」
「あ……。やっと、終わったんだね……」

泣く事も責める事もせずに、従業員の元に向かうミチル。

まるで、嵐の前の静けさのようだ。

結局、いつも通り挨拶をして仕事の終了を告げた。

なんとなく、ミチルの機嫌が悪い事は分かる。

しかし、仕事場でお茶を頂いて断ったら感じが悪い。

一体、どうしたら良かったんだ＿＿

考えれば、考える程に頭がパニクってしまう。

「陸……。家に帰ろ……」
「うん……」

空気が重すぎて、ミチルを気遣う事も出来ないまま家に帰る。
< 100 / 165 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop