僕の彼女はヤンデレです
家に入った瞬間だった。

「陸。私達、別れよう……」

こうなった原因は間違いなく。

「仕事で麦茶を貰ったから、飲んだだけだよ……」
「ごめん……。イライラするの……」

イライラするって言われても。
俺は、どうすれば良かったんだよ。

でも、これ以上ミチルに縋り付くのも情けない感じがして家を出た。

ミチルなら、直ぐに新しい彼氏が出来るだろう。

そう考えたら、嫉妬で狂いそうだ。

黙って家に帰れば良いのに、ミチルの家の近くに有る堤防で時間を過ごす。

今まで苦労は有ったが、幸せだった。

今までの楽しい出来事を思い出すと、酷く虚しくなってしまう。

コンビニに飲み物でも買いに行こうと考えた瞬間、携帯が震える。

ミチルからだ。

まるで、ご褒美を貰った犬みたく電話に出ると、ミチルの啜り泣く声が聞こえる。

「み、ミチル!?」
「……」

何も喋らない。

ただ、啜り泣く音だけが鼓膜に響いた。

何かあったのかも知れないと、不安感を感じながらミチルの家に向かう。

長い間一緒に住んでいたせいか、当たり前のように玄関で靴を脱ぐと、ミチルの部屋に向かう。

「ミチル!!なんかあった!?」

目を赤く腫らしたミチルがこちらを見ている。
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