僕の彼女はヤンデレです
「ねえ、陸さんは食べ物何が好き?」

食べ物かぁ。

あんまり、食に対する欲はないけど強いて言うなら。

「唐揚げかなぁ!」
「陸さん、子供みたい!!でも、陸さんが好きなら唐揚げ沢山作りたいなあ……」

なんだか、嬉しい。

俺には母親が居ない。

だから、女の子に手作り料理を作ってもらえる事に憧れていた。

手作り料理なんて、ここ何年も食べていない。

テーブルに置かれた空の弁当箱を見ると、自分の食生活がまともじゃない事を思い知らされる。

「ミチルは料理好き?」
「決して上手くはないけど、陸さんに食べて貰えると思ったら作るの楽しそう……。
あ!!料理の腕磨いておきますね!!」

俺なんかの為にこんな風に言ってくれるミチル。

幸せだ。

この時の俺は完全に愛に飢えていたのだろう__

「あのさ!」
「うん?」
「俺の事、陸って呼んでよ!!」
「陸……」

恥ずかしそうに俺の名前を呟くミチル。

ミチルに出会えて、産まれて来た事に感謝すら出来るから不思議だ。

「俺さ……」
「ん?」
「今まで、産まれて良かったって思えた事無かったんだ……」

でも、君に会えて心底幸せだと伝えようとした瞬間だった。

「私も……だよ。私も、今まで産まれて幸せなんて思えた事……無かったよ……」
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