僕の彼女はヤンデレです
「祖母の味を覚えられる事に感謝しかなくて……」
「うちのメイにも見習って欲しいわ!
あの子ったら、全然料理しないのよ……」
「……そんな物ですよ」


そう言った、ミチルは悲しそうな表情を浮かべた。

きっと、ミチルも同じだったんだろう。


人間とはきっと愚かな生き物で、大切な人が目の前から居なくなってやっと大切さに気付くのだろう。


俺も、親が居なくなったら……考えが変わるのだろうか。


俺らしからぬ考えに集中していると、包丁のリズミカルな音が聞こえて来て、我に返り台所に視線をうつした。


そこには、説明をしながら料理しているおばあちゃんと真剣な眼差しのミチルが居た。


何だか、ミチルの後ろで優しい顔をした背の低いおばあちゃんが笑っているように見えたのは気のせいだろうか。


一瞬。
ほんの一瞬だが、そんな感じがした。


おばあちゃんと楽しそうに喋りながら、料理を眺めるミチルを見ていると、幸せな気分になれた。


「煮物は後は煮るだけよ。
次はちらし寿司をつくりましょう。
ミチルちゃんのおばあちゃんに習ったんだけたど、凄く美味しいのよ!!」
「はい!ありがとうございます!」
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