僕の彼女はヤンデレです
濃い色の染み込んだ角煮を包丁で切って、テーブルに置く。



さっき味見したら、ご飯に良く合う濃い味が最高だった。

ただ、ミチルは薄味。

この味じゃ、辛過ぎないだろうか。


「ちょっと、味濃くなった……」
「ご飯と食べるから大丈夫だよ」


そう言うと、手を合わせて箸を持ったミチル。


角煮を箸で持つと、口に運んだ。


口に合うだろうか。そう考えたら、ドキドキが止まらない。


角煮を咀嚼したミチルが、幸せそうな笑顔を浮かべこちらを見ている。


喉仏がゴクリて動き、唇が動いた。


「うーん!最高!!凄く美味しい!!」


ホッとした瞬間に気分が良くなる。


もしかして、俺って料理の才能有るんじゃないかな……。なんて、まじで考えたり。 


そう思えるのも、美味しそうに食べてくれる人が居るからだよな。



「あ、ありがとう!!」
「凄く美味しい!ねえ、今度作り方教えて!!」
「これで良ければ!」
「本当に美味しい!」


幸せそうなミチルの顔を見れる幸せ。


こんな幸せが当たり前の事なんて思えなくて、ミチルを抱き締めた。


「料理は、交代制にしよう!」
「え、良いの?」
「ミチルも働いてるんだから、負担は平等に」
< 156 / 165 >

この作品をシェア

pagetop