僕の彼女はヤンデレです
恨みを晴らしたなんて、物騒だ。

「どうやって、仕返ししたか気になる?」

そりゃ。
気にならないと言ったら嘘になる……

小さくコクリと頷いた。

「仕返しは私がしたんじゃないんです……」
「どういう事?」
「祖父母がしてくれたの……」

意味が分からない。

「それは、財産かな……」
「財産?」
「うん……。祖父母は全財産を私に残しちゃった感じですね……。
だから、父達は悔しがっていると思います……」

悔しがっている様にはみえなかったが、家族の内面的な物はなかなか見えない。

「そうなんだ!!」
「その財産は、私に人間の嫌な所を沢山見せてくれたの……」

そう言ったミチルの表情は寂しそうだ。

俺の家は遺産など無いだろうから、想像すら出来ない。

ただ、突然宝くじの高額当選をして人生が狂ったなんて話を聞いた事が有る。

金は人間を狂わせるのだろう。

そんな事を考えながら、ミチルを抱き締める。

「陸はお金に行かないと信じています……」

正直、金は有った方が良いと思う。
けど、ミチルが居てくれる事が1番の幸せだ。

ミチルが居なきゃ金があっても、糞みたいな人生だ。

ただ、今のミチルにそれを言っても嘘臭く聞こえる気がして口には出せなかった。



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