僕の彼女はヤンデレです
彼女に自信を持たせたい
「陸!お風呂湧いたよ……」

そんなミチルの呼び声を聞きながら、ゴミ箱に入ったフィギュアを眺めた。

「すぐ行く!!」

何が正しいのか分からないくなってくる。

胃から熱い何かが込み上げた。

風呂場に向かうと乳白色の入浴剤を入れたお湯の中に、ミチルが入っている。

その目は少し赤くなっていて、泣いた事が伺える。

「ミチル……。フィギュア……そんなに嫌だったかな……?なんか、嫌な思いさせてごめん……」
「ううん……。小さい頃ね……」
「うん?」
「お父さんの家にたまに泊まったりしてたんだ……」

一体何の話だろう。

「そうなんだ!完全に別居していた訳じゃ無いんだね……」
「うん。そう。
土曜日の夜は、お父さんの家に行く事も有ったと思う……。
でもね、約束を破られる事が多くて……」
「ん?」
「泊まる約束してたのに、約束守らなかったの……」
「ああ」
「それが、寂しかったんだ。
私って要らないのかなみたいな。なんだか、さ。陸も私から離れていっちゃう気がして、その時の事を思い出しちゃうの……」

ミチルが不安を感じている事は理解出来る。

誰かに捨てられる恐怖。

これを見捨てられ不安とでも呼ぶのだろうか。

< 88 / 165 >

この作品をシェア

pagetop