僕の彼女はヤンデレです
どうしたら、ミチルは俺が居なくならないと分かってくれるのだろうか。

言葉は余りにもペラペラだから、信じて貰えないかも知れないが伝えたい。

「俺は、ずっとミチルと一緒に居たいよ……」
「うん、嬉しい……。
陸は私から離れない。そう思うのに、不安になっちゃって……。キツい……」

きっと言葉を与えても、その時安心するだけで不安は消えないのだろう。

でも、ほんの一瞬で良いからホッとして欲しい。

「俺は、離れないよ」

そう言うと、浴槽に入りミチルを抱き締める。

「陸に抱き締められると安心する。
傍に居てくれて、幸せ」
「俺も……」

ミチルに必要とされている。

その感覚にすがりついてしまう。

冷静な頭で考えたら余り良くない関係。

そう分かるのに、溺れてしまう。

「ねえ、陸……」
「ん?」
「私から離れないでね……」

本当は自立した関係が正しいのに、溺れてしまう方が楽だ。

俺が離れたくない。

「離れないよ!」
「お父さんがね……」
「うん」
「私との約束を破って、出掛けた時の感情が忘れられないの……」
「子供心にショックだったんだろうね」

可愛い、ミチル。

可哀想な、ミチル。


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