僕の彼女はヤンデレです
「学生時代?」
「うん……。
そしたら、陸がイジメから私の事を守ってくれただろうな……。なんて……」

そう口にした、ミチルの表情は悲しそうだ。

きっと、ミチルを守ってくれる人は居なかったのだろう。

「うん。ミチルの事を守りたかった!」
「ありがとう……」

それは、嘘偽りの無い言葉だ。

過去に戻って、ミチルを不細工扱いする奴から守りたい。

そしたら、今頃ミチルは自分に自信を持っていられたかもしれない。

「暑い!!」

汗だくになって、風呂から出たミチルの表情は柔らかい笑顔だ。

「ミチル!今から、買い物行こうよ!!
俺、ご飯作るから!!」
「いいの?」
「うん。たまには、俺もミチルの為になる事がしたい!」

ミチルが切なそうな表情を浮かべる。

「陸はね……、私の傍に居てくれるだけでいいんだよ?」
「そういう訳にもいかないでしよ!」
「ううん。傍に居てくれるだけで良いの……」

その言葉の後に「1人は寂しいから」と小さく呟いた。

ミチルはたまに死んだ魚のような目になる。

瞳に力が無いとでも言うのだろうか。

酷く、寂しそうな横顔を見せる時が有る。

それに気付かないフリをして、風呂から出るとスーパーに向かう準備を始めた。
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