37℃のグラビティ
噂が好きな女子は「アーヤ」に限らず、時折この「クラミー」の話もしてたから、転校生のアタシでも、その存在は知っていた。


名前だけじゃなく、ちゃんとバッチリ可愛い顔も把握済み。


噂では、付き合う男の子が頻繁に変わってるとか…


可愛い事を鼻にかけてるとか…


男の前じゃ態度が違うとか…


あんまりいい噂を聞いたことがない。


始業式が行われるという体育館で、偶然「クラミー」を見かけた。


クラミーの可愛い顔を見れば見るほど、どんどん自虐的になっていく。


クラミーに限らず、アタシはこの先どれだけの噂話を聞く事になるんだろう……?


ある程度の覚悟はしていたつもりだけど……


「聞く」と「見る」じゃ違う様に。


「想像」と「現実」は遥かに違う。


誰かに打ち明けられたなら、少しは楽になるかもしれないのに……


誰にも言えない。


アタシの心の小さな秘密は……


いつの間にか、とても大きなものに変わってしまっていた。
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