37℃のグラビティ
「ってかさ……俺、責められてる感じ? そっちだって気持ちないんだから、責められる覚えないんだけど?」


半笑いの新海に、アタシの中で、何かがパチンっと弾けた。


気持ちがないなんて、決めつけないでよ!!


言いたいのに、言えなくて……


心がそこから、どんどん遠ざかっていく。


アタシは立ち上がると、梯子を下りて、(あわ)れむような眼差しを新海へと向けた。


「楽しい?」


「は? 何が」


声のトーンで、新海の怒りが伝わる。


「元カノが好きなら、真っ直ぐ向き合えば!?」


新海はノーコメントで、冷ややかな鋭い視線を向けると……


勢い任せにアタシに詰め寄った。


後退りしたアタシをフェンスまで追い込む。


新海はすかさずフェンスに両手をついて、アタシをその中に閉じ込めた。
< 115 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop