37℃のグラビティ
言い過ぎた……? 思ったところでもう遅い。


それに……新海を追いかけて、素直に謝る気持ちには、どうしてもなれなかった。


それで新海に嫌われるのなら、その方がいいとさえ思う。


新海の中に存在しないアタシが、そこで初めて存在する事が出来るなら……


それはそれで本望。


アタシがアタシとして、新海の中に存在するには、もうそんな事くらいしか、残されてないから。


アタシが新海に近付けば近付くほど、新海は元カノを思い出す。


新海にとって、そこに居るのは……アタシじゃないアタシ。


ひとり残された屋上で。


アタシの心を支配した衝撃は、怒りになり……


怒りはある極限まで達したところで、今度は深い悲しみに変わった。
< 117 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop