37℃のグラビティ
「誕生日にプレゼントもなし、か……フレンチのディナー断ったの失敗だったな」
フリーズしているアタシをからかう様に、新海がわざとらしい独り言を言う。
「アタシが作る」
アタシは睫毛の先についたしずくを軽く拭いながら、元気よく立ちあがった。
「フレンチ作んの? お前が?」
「さすがにフレンチは作れないけど……頑張る」
「ふ~ん」
「じゃあ、アタシ買い物行ってくるから、新海くんは部屋で待ってて」
すると何を思ったのか、新海が鼻を鳴らして小さく吹き出す。
「…………?」
「鼻の頭赤くして、トナカイみてぇ」
キョトンとした顔で、小首を傾げるアタシの鼻先を指で小突きながら、新海が笑った。
その笑顔に胸が締め付けられて、せっかく止まった涙がまた……あふれそうになる。
そんなアタシの鼻先に、新海が落とした……不意打ちの軽いキス。
新海は何事もなかった様に、開いたエレベーターへと乗り込み……
「ピザでも頼もうぜ?」
アタシの手を掴んで引き寄せ、その扉を閉めた。
フリーズしているアタシをからかう様に、新海がわざとらしい独り言を言う。
「アタシが作る」
アタシは睫毛の先についたしずくを軽く拭いながら、元気よく立ちあがった。
「フレンチ作んの? お前が?」
「さすがにフレンチは作れないけど……頑張る」
「ふ~ん」
「じゃあ、アタシ買い物行ってくるから、新海くんは部屋で待ってて」
すると何を思ったのか、新海が鼻を鳴らして小さく吹き出す。
「…………?」
「鼻の頭赤くして、トナカイみてぇ」
キョトンとした顔で、小首を傾げるアタシの鼻先を指で小突きながら、新海が笑った。
その笑顔に胸が締め付けられて、せっかく止まった涙がまた……あふれそうになる。
そんなアタシの鼻先に、新海が落とした……不意打ちの軽いキス。
新海は何事もなかった様に、開いたエレベーターへと乗り込み……
「ピザでも頼もうぜ?」
アタシの手を掴んで引き寄せ、その扉を閉めた。