３７℃のグラビティ

一瞬静まり返った教室が、一瞬にしてまたざわめく。


そのざわめきに紛れて、明日香がアタシを振り返り、


「マジでカッコよくない？」


小声で興奮気味に言って、すぐまた前に向き直る。


言われてアタシも、その転校生へと視線を向けた。


確かに顔はカッコイイと思うけど……なんとなく、どっか冷めた生意気そうな視線とか、性格悪そうで嫌な感じ。


自分の顔も性格も棚にあげて、不躾にもそんな事を思う。


それが転校生、新海彩人(にいみあやと)に対するアタシの第一印象だった。


担任が新海に挨拶をする様に言い、何を言うかと思えば……


「新海彩人です」


笑顔もなく名前だけ言って、ほんの軽く会釈しただけ。


クラスの女子達は、それでも騒いでいたけれど、アタシの第一印象は、そこで更に決定付けられた。