37℃のグラビティ
「この学校ってさ、屋上出れんの?」


そんな新海の言葉で我に返ったアタシは、


「出れる……けど?」


相変わらず無愛想な顔つきのまま言った。


そんなアタシを咎める事も、気に留める様子もなく、ラフな表情を浮かべて新海が言う。


「じゃあ、屋上の行き方だけ、口で説明してくれればいいから」


そう言われても、校内を知らない新海に、口で説明する方が面倒に思えて、


「説明するより、案内する方が早いし」


アタシは言って踵を返すと、新海と何を話すでもなく、無言のまま屋上を目指した。
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