37℃のグラビティ
屋上は移動教室が多く設置されている北校舎側にある。


ちなみに、学年毎に階が分けられ、教室があるのは南校舎。


アタシが辿り着いた屋上の扉を開けて外に出ると、新海はアタシを追い越し、フェンスに向かって歩きながら、大きく伸びをする。


「サンキュ」


新海は顔だけアタシに振り返ると、まるで「もういいよ」とでも言う様に、すぐまた前に向き直った。


役目を終えたアタシは、「それじゃ」と心で呟いて、扉に向かって歩きながら、もうひとつの役目を思い出し、その足が止まる。


思い出したのは、明日香のお願い。


誰もいない絶好の機会に、いっそのこと訊いてしまった方がいい様に思えて、アタシはらしくもなく怖ず怖ずと、新海の方へまた歩み寄った。
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