37℃のグラビティ
「あのさ……」


新海の背中に向かって、歯切れの悪い声をかけたアタシに、新海が無言で振り返る。


「新海……くんって、彼女いんの?」


何故か妙にテンパったアタシは、大事な前置きすら忘れて訊いていた。


新海は一瞬、呆気にとられた様な顔をして、意地悪な半笑いを浮かべる。


「新海でいいよ」


取って付けた様な「くん付け」を突っ込まれ、アタシは不貞腐れた顔のまま、前置きだけを後付けした。


「クラスの子が知りたがってたから」


「ふ~ん……」


新海は含み笑いをして、そんなアタシを見る。
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