37℃のグラビティ

近付く距離

朝、アタシが教室に入るなり、明日香が駆け寄って来た。


「昨日の事、ちゃんと新海くんに訊いてくれた?」


名簿順に並べられた席は前後なんだから、座って待っていれば、振り返るだけでいいのに、待っていられないほど訊きたかったのは、それか!!


「明日香があんまり必死に頼むから、訊いたけどさ……」


「それで? それで?」と目を輝かせる明日香には、ちょっと気が引けたけど、こんなところで嘘をつくのもなんだから、席に着いたタイミングでハッキリと言った。


「彼女いるって」


「やっぱり……かぁ~」


明日香はアタシの机に、そのまま倒れ込む様に突っ伏した。と、思いきや、いきなり顔をあげると、口を尖らせてアタシに訊く。


「彼女って、前の学校の子?」


「知らない。そこまで訊いてない」


「んも~!! ちゃんとそういうとこまで訊いてきてよぉ」


明日香に言われ、その話の流れが、全く別の方に流れて行ってしまったとは言えない。
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