37℃のグラビティ
ホテルの前に着いたタクシーを降りたところで、ちょうど鉢合わせしたお父さんも一緒に、ホテルの中へ。


そのホテルの中にあるフランス料理店に入ると、父親が顔なじみの客という事もあってか、支配人に満面の笑顔で迎えられ、予約席へと案内された。


予約席は円卓に、6つの椅子。


父、母、弟、アタシの順で座り、相手の家族が来るのを待った。


親友に会うのがよほど嬉しいのか、お父さんはやたらご機嫌で、


「柚希、女は愛嬌だからな」


なんて、笑いながら釘をさされた。


そこへ、支配人に案内されながら、父親の親友とその家族がやって来て、何気なく向けた視線の先の人物に、アタシは思わず目を見開いてフリーズした。
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