37℃のグラビティ
それからもうひとつ、アタシが何より考えるのは、新海の彼女の事。


海とかって、友達同士ってより、恋人同士が行く場所の様な気がして、彼女の立場になってみたら、そういうの嫌じゃないかな? って、思ったり……


部屋に戻って、Tシャツの下に水着は着たものの、やっぱり気乗りしない。


部屋まで迎えにやって来た新海と二人、プライベートビーチに向かいながら、アタシにだけどんよりとした重たい空気が、まとわりついていた。


「ねぇ、やっぱ、やめない?」


ビーチの砂浜を歩きながら、少し前を歩く新海の背中に言うと、そんなアタシを振り返って、新海が足を止める。


「何? そんなに水怖い?」


「水も怖いけど……」


「けど?」


「新海の彼女に悪いよ。アタシに彼氏がいたとして、その彼氏が他の女の子と一緒に海に行って、まして泳ぎ方教えるとか……やっぱりいい気しない」


アタシのセリフに、新海はちょっと驚いた様な顔をした後、失礼にも小さく吹き出した。
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