37℃のグラビティ
「恋愛が面倒くさいとか、いったいお前いくつだよ!?」


からかう様に言って、鼻を鳴らして笑う新海に、アタシもここぞとばかりに反撃に出た。


「そういう新海は、なんで彼女の写メとかプリクラとか、みんなに見せないの?」


「減るから」


「『減る』って何が?」


「俺の彼女の価値が」


「写メやプリクラ見せたくらいで、そんなの減るもんじゃないでしょ?」


「減るよ。見た目だけで判断して、勝手に色々言われんの嫌なんだよね」


その言葉に、彼女のことをとても大切にしてる新海を垣間見た気がして……アタシの心は、大きく揺れ動く。


そんな風に新海に想われてる彼女は、とても幸せなんだろうな……って、その彼女を羨ましいと思う感情まで連れてくるほど……


新海が彼女を見せない理由が、そんな深いところにあったなんて……思いもしないアタシだった。


風が止んだ浜辺で、時間が止まった様にさえ感じる。


端整な顔立ちの横顔もそうだけど、何より彼女を一途に想う新海のことが、ストレートに「カッコイイ」って……思った。
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