37℃のグラビティ
それを見るまでのアタシは、色々な事を勝手に想像して思っていた事に気付く。


『見た目で勝手な事言われたくない』なんて新海が言うから、もしかしたら、あんまり可愛くないのかな? とか『年上だ』って言うから、大人っぽいのを通り過ぎて、ちょっとケバイ感じなのかな? とか。


そんなアタシの勝手な思い込みは、スマホに映し出されている彼女の笑顔に、一瞬にして掻き消された。


年上と聞いていなければ、もしかしたら年下かと思うくらい童顔で、気取らない爽やかな笑顔がとても可愛い彼女(ひと)


「可愛い彼女じゃん」


お世辞でもなんでもなく、思ったまま言って、


「でも正直、ちょっと意外だったけど」


そんな言葉も付け足して、まるでアタシの言葉を予想していたかの様に笑った新海に、スマホを返しながら続けた。


「新海の彼女って、もっと派手なタイプ想像してた」


「なんで?」


「なんとなく。でも、新海が彼女に一目惚れしたっていうのわかる気がする……」


「さすが北川、見る目あるじゃん?」


新海は冗談ぽく笑いながらも、ドヤ顔をアタシに向けた。
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