37℃のグラビティ

心のパズル

それからの夏休みは、何をするでもなくあっと言う間に過ぎ、今日から二学期。


久しぶりに味わうラッシュにウンザリしながら、休みボケが抜けない体を引きずるように学校へと向かう。


「柚ぅー、オッハヨ」


後ろからアタシの肩を叩いて、横に並んだ明日香に、


「おはよ」


すでに疲れ切った様な顔と声で返事を返した。


「あ~何事もなく夏休みが終わっちゃったよぉ」


口を尖らせ、大袈裟に肩をガックリ落とすリアクションをしながら、明日香が言う。


「何事もなく無事でよかったじゃん?」


わざとからかったアタシに、


「そういう意味じゃないってば! 出会いのひとつもなかったってこと!!」


想像通りのツッコミ反応が明日香から返ってきて、悪戯に思わず小さく笑った。


「今年のクリスマスまでには、ぜぇーったい彼氏つくってやる!!」


「はいはい。頑張って」


明日香の言葉を軽くあしらう様なアタシのセリフに、


「それ親友としてどおよ!?」


明日香も明日香で、わざとらしいツッコミを入れながら笑う。


そんな日常のやりとりをしながら、アタシ達は教室へと向かった。
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