37℃のグラビティ
「ガッコ、慣れた?」


って……


それもアタシの顔は見ずに、スマホの画面を見たままで。


学校で話をした事もなければ、視線すら合った事もないから、アタシの事なんてわかってないんじゃないかって思ってた。


「アタシが同じクラスだってこと……知ってたの?」


「意外」と言わんばかりの口調で訊き返したアタシに、ゆっくりと視線を移した「アーヤ」は、得意の「アーヤスマイル」で言う。


「“転校生”ってだけで、目立つんだよ。例えどんなに目立たない奴でも?」


思わず口をへの字にして「ムッ」としたアタシに、小さく鼻を鳴らして「アーヤ」が言った。


「俺も“転校生”だったし?」


「えっ!? ア、新海……くんが!?」


咄嗟に「アーヤ」なんて口走りそうになって、今度は苗字を呼び捨てにしていいものか迷って、取って付けたように「くん」付けした。


「つっても、高1の時の話だけど」


「アーヤ」……ってか、新海……くんも、転校生だったんだ……?
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