37℃のグラビティ
「バカ正直すぎ……でもやっぱお前呼び出して正解」


まるでおちょくる様に言って、新海はアタシに凭れていた体を離すと、部屋の明かりを点けた。


「ねぇ、アタシを呼び出して正解って、どういう意味?」


「一緒に泣いてくれる奴がほしかったわけじゃないから?」


新海は軽っぽくわざと疑問形で言って、アタシを見る。


「なんだ。それなら一緒に泣いてやればよかった」


「それこそ、らしくねぇだろ」


アタシと新海はそんな冗談を言いながら、お互い薄く笑んだ。


新海は少し落ち着いた様子で、何も訊いてやしないのに、今日彼女との間にあった出来事を話し出す。


今日、彼女からかかってきた電話で、突然別れを告げられた事……


そのまま新幹線に乗り、彼女に会いに行った事……


会いに行った彼女の隣には、新しい彼がいた事……
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