37℃のグラビティ

変わりゆく日々

年が明け、三学期が始まり、半月ほど経った頃。


「ちょっと柚、大ニュース!」


教室に入るなり、明日香が大声をあげてアタシに駆け寄って来た。


「おはよ」


アタシの呑気な挨拶をスルーして、興奮気味にも明日香が声のトーンを下げる。


「新海くん、彼女と別れたらしいよ?」


いきなり飛び出した新海の名前に動揺しながら、その話は既に知っていたとも言えず……


「そうなんだ」


あくまで興味がなさそうに、わざと答えた。


どちらかといえば、明日香にとっては、それが本来のアタシだったりするから、そんな物言いを今更突っ込む事もなく、ペラペラと喋り出す。


「別れただけじゃなくってさー。昨日の日曜日、3年の女子の先輩と、一緒に街を歩いてたの誰かが見たんだって。やっぱ新しい彼女かな?」


「新海なら、そうなんじゃない?」


明日香の言葉に、内心動揺しながらも、嫌味まじりに言い放ったアタシの胸は、強い脈を打っていた。
< 209 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop