37℃のグラビティ
新海からLINE電話があったのは、その日の夜。


アタシは何も躊躇う事なく、その電話に出た。


「もしもし?」


『久しぶり』


「って、学校で会ってたじゃん」


『話すのがってこと』


「確かに、話すのは久しぶり」


からかい口調の新海に、アタシも気安く答える。


それからあれこれと、とりとめのない話を30分くらいして、アタシ達はその電話を切った。


噂になっている彼女の話は、新海が何も言わないから、アタシからも敢えて聞かず、真相はわからずじまい。


でも、それでいいんだと思った。


好きでいるだけならむしろ、聞かない方がいいし、聞いたところで、アタシのスタンスが変わるわけじゃない。
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