37℃のグラビティ
「……ごめん。変な事訊いた」


愁いに沈む新海の横顔に、やりきれない気持ちが込み上げて、アタシは思わず小さく頭を下げて言う。


「別に、気にしてねぇよ」


新海はアタシに優しく笑いかけると、逸らした視線を遠く泳がせながら話し出した。


「別れたばっかの頃は、未練ってより、憎しみの方が強くてさ。なのに……時間が経てば経つほど、そんな憎しみも薄れてくもんなんだって……今、自分の出した答えで初めて気がついた。きっとこういうの『惚れた弱み』って言うんだろうな」


本当に大好きだった彼女を失った新海の気持ちは、アタシには計り知れないけれど……惚れた弱みなら、少なからずアタシにも、わかる様な気がした。


「アタシに何か出来る事ある?」


深い悲しみの中にいる新海に、らしくない言葉をかけてしまうアタシだって、多分きっとそれと同じ……
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