37℃のグラビティ
episode1:立入禁止?
「ここ、立入禁止だって知ってた?」


スマホをジーンズのポケットにしまいながら言った新海に、アタシは首を横に振る。


「そんなのどこにも書いてなかったし。鍵だってかかってなかったし……」


「ここの鍵開けたの俺」


新海はストラップらしきものを指先でつまんで、その先についている鍵を揺らした。


「なんで新海くんが、屋上の鍵なんか持ってるの?」


「このマンション、俺の親父んだから。で、管理は親父の会社がやってる」


「えっ!? そーなの!?」


「んな驚く様な事かよ」


少し呆れ気味に言いながら、新海は鉄の梯子を軽々上ってくると、アタシから少し離れて縁に座った。
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