37℃のグラビティ
約二週間後に迫ったIELTS(アイエルツ)のテスト。


まずこのテストで志望校の規定に達しなければ、留学する事は難しくなる。


アタシは新海とテキストを交換しあったりして、その勉強を進めていた。


学校で接点をまったく持たないアタシ達は、学校が終わった後に、アタシが新海のマンションに行くというスタイル。


アタシも新海も、どちらかといえばひとり集中型タイプだから、そこで一緒に勉強する事まではしないけど。


今日という日も同様、新海から借りたテキストを返しに、新海のマンションへと向かう。


アタシがマンションの前に辿り着くと、そこには既に新海が立っていた。


「寒いんだから、中に入って待ってればよかったのに」


「寄らずに帰るのに、わざわざ部屋まで柚に持って来てもらうのもなんだからさ」


「あ、これありがと」


アタシは新海に借りていたテキストを渡す。


「柚から借りてるやつ、俺まだ終わってないんだよね」


「いいよ別に。アタシはもう何度かやったやつだし」


そんな会話をアタシが新海としているところを、まさか吉住さんが見ていたなんて、アタシも新海も知る由もなく……アタシは新海に訊いていた。
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