37℃のグラビティ
「お疲れ」


電話に出た新海へ「もしもし」もないアタシの第一声。


『それお互い様』


アタシも新海も、一気に気持ちが緩んで、それでいてどこか言葉に覇気がない。


「うちの親がね、クリスマス・イヴに一緒に外食しないか? って言ってるんだけど……」


『別にいいよ』


「えっ? いいの!?」


『柚には借りもあるし、俺もたまにはうまいもの食べたいし?』


「新海、無理しなくていいよ?」


『無理なら無理って、俺が言うの柚知ってんだろ?』


「じゃあ、親にそう言っとく。時間とかわかったらまた連絡するね」


『了解』


お互いテスト疲れで、その日の電話はその話だけで終わった。
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