37℃のグラビティ
「あら、雪?」


食事を終えホテルから出ると、この都会(まち)には珍しい雪が降っていて……


アタシの隣にいたお母さんが驚きの声をあげた。


小学生の朋希は、やたらとはしゃいで、アタシはといえば……ただ黙って、クリスマス・イヴの夜に、空から降る白いプレゼントを見上げていた。


新海もこの雪を見てるかな……?


思わずそんな事を思ってしまう自分に、心の中で苦笑する。


新海の胸の痛みや、過去の傷も、この真っ白な雪が、すべて消してくれます様に……


空を見上げて、アタシは祈る。


今まで一度も言葉にして、言ったことなんてなかったけど……


メリークリスマス。


それから……


ハッピーバースデー新海。
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