37℃のグラビティ
アタシと新海は高校を卒業して、イギリスに渡った。


新海はまるで人が変わったみたいに、遅刻するなんて事もなく、ましてや女の噂なんてひとつもなく、アカデミックイヤーを過ごしてた。


その時に一度だけ、こんな話してたっけ……


『柚、恋の微熱ってわかる?』


『何それ?』


『いつか柚に好きな男が出来たらわかる。そしたら教えてやるよ』


それ以来、そんな話はする事もなくて……


アタシ達は別々の大学に進学して、早三年。


年に数回LINEのやりとりはあったけど、アタシも新海も、高校生の頃とは違った。


イギリスの大学の学部課程は三年、もうすぐ卒業をひかえた7月に、久しぶりに届いた新海からのLINE。
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