37℃のグラビティ
「アタシは離れたからって、そんな簡単に心変わりしないもん!」


「お前がどんなにそう思っても、相手が心変わりしたら?」


「しないもん!!」


「なんでそんな風に言い切れんの?」


小馬鹿にして笑った新海に、怒りをにじませた真顔で言い切った。


「信じてるから」


「信じるって、いったい何を? 神様でも信じてんの?」


「自分と彼氏を信じてる」


どこまでも食い下がるアタシに、


「おめでたい奴だな。お前」


新海は呆れた様な口調で言いながら、逸らした視線を遠くに泳がせた。


「気持ちなんて目に見えるもんじゃないし、縛っておく事だって出来ないし。そんな危ういもん、どうやって信じるわけ?」


それは決して強くはない……


呟きにも似た新海の言葉が、春の夜風に乗って宙に漂う。
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