37℃のグラビティ
「たとえそうだとしても、信じる事やめたら、そこで終わりだよ?」


そんなアタシの言葉に、新海は何も応えない。


そして不意に、スマホを打つ手を止めた。


「いい事教えてやるよ」


視線を合わせる事もなく、横顔のまま言って……


「お前にぴったりのことわざ。『見ぬは極楽知らぬは仏』ってね」


語尾と同時に、新海得意の「アーヤスマイル」を向ける。


「……最ッ低」


アタシは「アーヤ」相手に言い捨てて立ち上がり、素早く梯子を下りると、そのまま屋上をあとにした。
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