37℃のグラビティ
まっすぐにアタシを捕らえた新海の視線は……


まるでアタシがそこに、存在していないかの様に……


逸らされた。


長く感じられた時間は、きっと一瞬で。


ここにいる誰もが、そんなアタシと新海に、気付いてはいない。


アタシに対して怒っている素振りはなく、それは昨日よりも前と、何ひとつ変わらない。


そんな日々がしばらく続いて……


あの屋上以来、マンションでも遭遇する事はなくて。


相変わらずみんなに持て囃されてる「アーヤ」を見て、新海と並んで話をした夜が、なんだか夢の様にさえ感じられた。
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