37℃のグラビティ
新海の前でなんて、涙なんかみせたくないのに。


ダメだ……理性がまったく働かない。


心を割って話せる友達が、今、誰ひとりいないアタシは、そんなひとりぼっちにも、押し潰されそうになっていた。


誰でもいい……傍にいてほしい……


今、ひとりには……なりたくない……


だけど新海に、そんな言葉を言える筈もなく……


アタシに声をかける事もせず、エントランスへと入って行く新海の後ろ姿を、歪んだ瞳のレンズ越しに見送った。
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