37℃のグラビティ
どのくらいそうしていたんだろう……?


不意にマンションの出入り口が開いて、顔をあげたアタシの目には……新海?


「いつまでそんなとこに突っ立ってんだよ。不審者がいるとか、通報されても知らねぇぞ」


怒った様な呆れ口調で言った後、新海はアタシの腕を掴んで、マンションの中へと引き入れた。


そのままエレベーターに乗り込み、何故か15階のボタンを押す。


引きずられる様にして連れてこられたのは、新海の部屋の前。


そこでようやく手を離した新海が、アタシを振り返って言った。


「そんな顔じゃ、家帰れないとか、思ってたんだろ?」


相変わらずのトーンで訊かれ、素直に小さく頷いた。
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